横浜地方裁判所 平成3年(ワ)767号 判決 1992年1月30日
主文
一 被告らは連帯して原告に対し、三九一万三二四一円及びうち三五六万三二四一円に対する平成二年四月三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告その余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は被告らの負担とする。
四 原告勝訴部分に限り仮に執行できる。
事実及び理由
第一請求
被告らは、原告に対し四四〇万九一五七円及びうち四〇〇万九一五七円に対する平成二年四月三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は衝突事故で損傷した被害自動車の所有者が、民法七〇九条、七一五条に基づき損害賠償を請求した事件である。
一 争いない事実
1 事故
日時・平成二年四月三日午前五時四〇分ころ
場所・川崎市川崎区小田七丁目三番四一号先路上
態様・津田寿幸の運転する原告所有の大型タンクローリーと被告奥寺が運転する普通乗用自動車が接触したため、原告車両が電柱に衝突し損害を受けた。
2 責任
被告会社は民法七一五条により責任を負う。
二 争点
被告らは被告奥寺の過失を否認し、損害額を争う。また、被告奥寺は第三車線から第二車線に自車の一部が入る状態で徐々に車線変更していたところ、後方から進行して来た原告車両がスピードの出し過ぎにより追突したのであるから、九割の過失相殺をすべきであると主張する。
第三争点に対する判断
一 損害額
1 車両修理費[請求額三二二万二八三三円] 三一七万二八三三円
(一) タンクトレーラーの修理費 五四万七五四八円
甲二、三、六により認める。
(二) トラクターの修理費 二六二万五二八五円
甲五により認める。
被告は、本件トラクターの時価は三〇万円であるから、これを超える分は相当因果関係がないと主張する。しかし、証拠(原告代表者)によれば、トラクターについては中古市場が形成されておらず、かつ本件トラクターはまだ十分使用に耐えるものであることが認められるから、修理費全額を損害と認めるべきである。
2 諸経費〔請求額一万八四二〇円〕 一万八四二〇円
甲一〇1・2、一一1~7、一二1~4、一三1~6、一四1~3により認める。
3 休車損害〔請求額七六万七九〇四円〕 七六万七九〇四円
証拠(甲五、七、八1~3、原告代表者、弁論の全趣旨)によると、本件トラクターは平成二年四月一〇日神奈川三菱ふそう横須賀工場に入庫し、五月一〇日修理完了したこと、その間の損害は原告が主張する別紙損害計算書のとおり算定されることが認められる。
二 過失相殺
証拠(乙一2、弁論の全趣旨)によると、事故現場は最高速度五〇キロメートル指定の片側四車線の道路であること、被告奥寺は後車(原告車両)までの車間距離が約一一メートルしかないのに、第三車線から原告車両の走行する第二車線へ車線変更を開始したことが認められる。この事実によれば、当事者の過失割合は概ね同被告九対津田一と認められる。なお、接触後トラクターはトレーラーから分離して暴走したことが認められるから、トレーラーのスリップ痕の長さから直ちに事故当時の原告車両のスピードを推定することは困難である。
三 以上の事実を前提とすると、被告らが支払うべき損害額は三五六万三二四一円となる。
四 弁護士費用中、三五万円を本件事故と相当因果関係に立つ損害と認める。
(裁判官 清水悠爾)
別紙〔略〕